大判例

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東京高等裁判所 昭和31年(ネ)729号 判決

控訴人が訴外尾花初治に対する宇都宮地方法務局足利支局所属公証人渡辺源左衛門作成昭和三十年第八九五号公正証書の執行力ある正本に基き昭和三十一年一月十三日右尾花初治方において原判決添附目録記載の物件の差押をなしたことは当事者間に争のないところである。被控訴人は右物件は被控訴人の所有にして右尾花初治に賃貸中のものであると主張し成立に争のない甲第一号証にはその旨の記載があり当審における証人尾花初治の証言中には右主張に副う供述があるが、右証言と成立に争のない乙第一号証並びに口頭弁論の全趣旨に照らせば、訴外尾花初治は控訴人から前記のように強制執行を受けた後被控訴人と共に控訴人に対し昭和三十一年二月二十七日までに金二万七千円の支払を約しその支払の出来ない時は前記執行を認める趣旨の書面を連名で差入れていることが認められるので、これによれば他に特別の事情の立証のない限り被控訴人及び尾花初治は前記物件が尾花初治に属していることを認めたものというほかないので、被控訴人と前記尾花初治との間において右物件につき前記甲第一号証の公正証書を作成したが右は強制執行を免れる目的のためにする仮装のもので、右物件は右尾花初治の所有に属しているものと認めるほかない。

然らば、前記強制執行は適法にして被控訴人の請求は理由がないので、これと異なる原判決を取り消し被控訴人の請求を棄却し、訴訟費用につき民事訴訟法第八十九条第九十五条を、強制執行停止決定につき同法第五百四十九条第五百四十八条を適用して主文のとおり判決する。

(岡咲 龜山 脇屋)

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